アムンディは2026年の世界経済見通しを発表 - サイクルは回り続ける
アムンディは2026年の世界経済見通しを発表 - サイクルは回り続ける
2025/11/20
• 世界経済は景気後退ではなく「移行期」にあり、2026年の成長は鈍化する見込みです。しかし、イノベーションと政策支援が下支えし、長期サイクル下で経済は堅調さを維持すると予想します。テクノロジーの発展により、多極化が進む中、地政学的リスクやインフレ圧力はより構造的なものとなり、経済構造は変化しています。こうした環境下では、公的債務の脆弱性や割高な株価バリュエーションに対する懸念は依然として残る一方、AI主導の設備投資や産業政策の転換、金融緩和が経済活動を下支えし、サイクルは継続すると見ています。
• 「制御された無秩序」の下での分散戦略 — 長期的な変化と短期的な力学の衝突の中でリスク水準が高止まりする中、政府や企業が貿易・投資の流れを維持しようとすることで新たな投資機会となる可能性があります。当社の2026年に対するスタンスはリスク資産に対してやや建設的で、オルタナティブ資産や金、一部の通貨などを含む戦略的ヘッジを取り入れた分散投資を選好します。
• グローバルの視点が重要です。米国株への一極集中や米国の財政不均衡を踏まえて、グローバルな投資視点が有効です。当社が着目する投資機会はAI主導の株価上昇機会にとどまらず、ディフェンシブ(例:生活必需品、ヘルスケア)およびシクリカル(例:資本財、素材、エネルギー)テーマも含みます。債券では信用力の高いクレジットやインフレヘッジ資産(例:物価連動債、実物資産)を選好します。新興国市場は、ドル安、米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的スタンス、相対的な成長の強さに支えられ上昇が続くとみています。さらに、欧州では防衛・インフラ支出拡大とあわせた構造改革が進み、投資適格クレジットや中小型株に魅力的な投資機会があると考えています。
欧州を代表する資産運用会社、アムンディは、2025年11月19日に2026年の世界経済⾒通しを発表しました。
2026年は景気後退ではなく「移行」の一年となるでしょう。世界経済は、技術革新が生み出す多極化と構造的インフレ圧力が共存する世界、「制御された無秩序」体制への移行期にあります。地政学、政策ミックス、インフレの上振れが構造的要因として作用し、これらの同時進行的な変化が2026年の経済・金融サイクルの展開を左右します。
十分な流動性、緩和的金融政策、産業政策の転換、そして関税の実質経済影響が低くとどまっていることにより現在の景気サイクルは長期化しています。ただし、この状況を逆転させるリスク要因は複数あり、主要先進国の巨額の公的債務に起因する不測の事態、株式市場の高い集中度と割高なバリュエーション、中央銀行に対する信任、実質金利の変動などには注視が必要です。
AIやテクノロジー関連の巨額な設備投資や堅調な企業業績見通しは割高なバリュエーションをサポートする一方、構造的リスクの上昇や貿易・資本の流れの予測困難性を示しています。
アムンディ・インベストメント・インスティテュートのヘッド、モニカ・ディフェンドは、次のように述べています。「経済は『制御された無秩序』の新たな体制に適応しつつあります。テクノロジー主導の変革、財政刺激策、産業政策の転換が活動を下支えし、新たな勝者を生み出しています。インフレは資産配分を検討する上で織り込むべき構造的テーマです。」
アムンディのグループCIOであるヴァンサン・モルティエは、「株式市場の集中と割高なバリュエーションが続く環境では分散投資は有効な戦略です。リスクを低減し、投資機会を捕捉するべく、スタイル・セクター・サイズ・地域での分散、特に新興国市場や欧州資産に魅力的な投資機会があるとみています」と述べています。
メインシナリオ:景気後退ではなく移行期
2026年、中央銀行のハト派的スタンスとテクノロジー、防衛、インフラへのグローバルな投資は、現状の景気サイクルの長期化を支えるでしょう。
· 世界経済の成長は鈍化するが、設備投資や戦略的自律性を目指す政策に牽引されるイノベーションにより、概ね回復力が保たれると見ています。景気拡張的な政策、サプライチェーンの継続的な再編、エネルギー転換に伴う課題によって、インフレリスクは引き続き存在します。幅広く適切とされる金融政策は財政上の制約により圧力を受けつつあります。当社では、世界の実質GDP成長率を、2025年3.3%、2026年3.0%、2027年3.1%とし、先進国は1.4%〜1.6%、新興国は4.0%〜4.1%と予想しています。
· 米国の成長率は今後数四半期でやや減速、その後回復傾向をたどり、2026年に1.9%、2027年に2.0%に達する一方、潜在成長率を下回る水準が続くと予想しています。AIやテクノロジー関連の現状の投資ペースは持続的ではなく、生産性向上が実現する前に成長が鈍化する可能性があります。消費は依然として主要な成長ドライバーですが、目標を上回るインフレ、所得の伸び悩み、労働市場の弱含みが低所得層の購買力を制約している兆候がみられることから、消費の伸びは限定的になる見込みです。FRBは2026年上期に2回の利下げ、政策金利は3.25%に低下すると予想していますが、そのプロセスは必ずしも直線的ではなく、ドル安が続くとみています。
· 欧州ではユーロ圏と英国の成長が2026年に0.9%と潜在成長を下回り、2027年に1.3%へ回復すると予想します。欧州の回復は内需、緩和的金融政策、そして構造改革の実施状況に依存します。改革の狙いはマクロ・金融構造を変え、中期的に民間投資を戦略的自律に振り向けることにあります。ドイツの構造改革案はゲーム・チェンジャーとなる可能性がありますが、公的債務は高水準にあり、財政規律の観点から多くの国は財政再建に向かうと考えられるため、域内全体の財政政策は中立的なものにとどまる可能性が高いとみています。防衛支出の増加は回復を後押しする可能性があります。欧州中央銀行(ECB)は市場予想よりも早いペースでの利下げを進め、2026年半ばまでに政策金利が1.5%に到達、英中銀は3.25%までの利下げを行うと想定しています。
· 新興国市場は幅広い投資機会を提供します。新興国市場は今年、主要国の緩和的金融政策、バランスのとれた国内政策、前倒し需要による輸出回復の恩恵を受けてきました。成長率の伸びは安定化するとみていますが、今後も先進国を上回る成長を実現すると予想しています。慎重ながらも緩和的金融政策は続く見込みで、財政優位性の兆候は見られません。中国(4.4%および4.2%)やインド(6.3%および6.5%)は成長鈍化傾向も、アジアは依然として主要な成長エンジンであり続けます。ラテンアメリカでは、複数の選挙が予定されており、よりビジネス志向の政権が誕生する可能性があります。地政学的再編、サプライチェーン再構築、技術競争の激化といった構造的要因の中で、アジアの存在感は際立っています。
· メインシナリオに対するリスクは多面的です。下振れリスクが大きい一方、上振れリスクも存在します。財政優位や金融抑圧を伴うような(地)政治的または金融ショックは、インフレや金利がどの水準で安定するか、という期待を揺るがし、企業業績や投資判断に悪影響を与え、流動性の収斂が市場の低迷を引き起こす可能性があります。反対に、地政学的緊張や関税の緩和、財政拡大や規制緩和を通じた投資の拡大、あるいはAIによる生産性向上の明確な兆候が現れれば、見通しの改善が期待されます。
投資への影響:「制御された無秩序」の時代における分散投資
2026年に景気後退が起こらないという前提のもと、当社はややリスク志向を推奨します。テクノロジー主導の回復を享受しつつ、相関の低いテーマや戦略的ヘッジを通じた分散を重視します。
• 債券 — 分散の流れは継続すると見ており、米国の不均衡に起因するリスクを念頭に置いています。現状ではデュレーションに対してタクティカルなアプローチを取り、国債を中立からややショートのスタンスで、信用力の高い投資適格クレジットをポートフォリオの中心的アロケーションとし、国債からの分散を推奨します。米国ハイイールド債と日本国債には引き続き慎重です。欧州債にはポジティブで、周辺国債や短期債、英国債、投資適格債(とくに金融)に注目しています。粘着性のあるインフレ環境下では、インフレ連動債を活用した投資機会も模索すべきです。
• 株式 — セクターとスタイルの配分が2026年のパフォーマンスを左右するでしょう。AI関連のテーマをより広範にとらえ電力・エネルギー・コンピューティング、AIの発展にあたり生じる物理的制約を解消するための素材といった幅広いテクノロジー・テーマへのエクスポージャーを選好します。同時に、ディフェンシブとシクリカルのテーマへの配分も重要です。米国株式は一極化と割高なバリュエーションを踏まえ全体的に中立とし、等配分アプローチを推奨します。欧州の資本財・インフラセクターは2026年上期に新たな投資機会がくると見ており、ドイツで計画の実行と改革が進めば、米ドル安や防衛費・電化など長期テーマの恩恵でユーロ圏への関心が回復するとみています。欧州の金融、資本財、防衛、グリーントランジション関連、および中小型株に対してはポジティブな見通しをもっています。欧州は機械や資本財セクターを通じてテクノロジー・サイクルへのエクスポージャーを取ることが有効です。また、拡大するアジアのテクノロジーエコシステムへの投資機会も追求しています。日本は企業改革と円安の恩恵を受ける可能性があります。
• 新興国 — 全体的にポジティブです。新興国の国債は利回りと分散効果という点で非常に魅力的で、新興国株式は多様な投資機会を提供しています。ハードカレンシー建債は利回りが魅力的で、現地通貨建債では、キャリーとバリュエーションを考慮し、中東欧に加え、ラテンアメリカ(コロンビア、ブラジル)、アジア(インド、フィリピン、韓国)を選好しています。新興国株式では、ラテンアメリカと東欧でバリュー&モメンタム戦略を支持、アジアではデジタル関連セクターの一部に投資妙味があると考えています。中国株式は中立から選択的なアプローチ、つまりテクノロジーおよびEVサプライチェーン、再生可能エネルギーなどの比較優位分野を選好します。インドの「Make in India」は製造業、消費、インフラ、サプライチェーンのシフト、フィンテック領域で中期的成長が期待されます。新興国の主要リスクは米ドル高と米国債利回りの上昇です。
• 分散とヘッジ — 実質リターンの強靭性を高めるべく、実物資産における代替的なインカムとインフレヘッジを推奨します。プライベートクレジットとインフラは、電化、リショアリング、AI、そして特に欧州でのプライベート資本需要といった構造的テーマから恩恵を受けるとみています。分散手段としてはコモディティエクスポージャーの拡大も有効で、金や一部の通貨(ドル安の恩恵を受ける円、ユーロ、新興国通貨)も検討すべきだと考えます。ブラジルレアルや南アフリカランド、アジア通貨といったハイキャリー通貨への選好を維持します。
エキスパート
2025年11月1日より現職。加藤伸明は2011年にアムンディ・ジャパンに入社し、インデックス運用部門のポートフォリオマネージャーを務めました。2016年にアムンディのパリ本社へ転籍し、ETFインデックスチームのポートフォリオマネージャーとして経験を積みました。その後2020年9月にアムンディ・ジャパンへ復帰し、東京でインデックス・スマートベータ運用部門の責任者を務[...]
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アムンディについて
アムンディは、欧州を代表する資産運用会社であり、世界トップ10※1にランクインしています。世界で1億を超える、個人投資家、機関投資家および事業法人のお客さまに、伝統的資産や実物資産のアクティブおよびパッシブ運用による幅広い種類の資産運用ソリューションを提供し、金融バリューチェーン全体をカバーするITツールでサービスの強化を図っています。クレディ・アグリコル・グループ傘下で、ユーロネクスト・パリ市場に上場するアムンディは、現在、約404兆円※3の資産を運用しています。
世界6つの運用拠点※2、財務・非財務のリサーチ能力および責任投資への長年の取り組みにより、アムンディは資産運用業界の中心的存在です。
アムンディは、35ヵ国を超える国と地域で約5,600人※3の従業員の専門知識と助言をお客さまに提供しています。
アムンディ 信頼されるパートナー
日々、お客さまと社会のために
公式ウェブサイト:https://www.amundi.co.jp/
1 出所:インベストメント・ペンション・ヨーロッパによる資産運用会社トップ500社(2025年6月版、2024年12月末の運用資産額)に基づく
2 主要な運用拠点:パリ、ロンドン、ダブリン、ミラノ、東京およびサンアントニオ(ビクトリー・キャピタルとの戦略的パートナーシップを通じて)
3 2025年9月末現在。運用資産額は約2兆3,170億ユーロ、1ユーロ=174.47円で換算。